第35回ランナーズ賞

左から、サロマ湖100kmウルトラマラソンの川田大会実行委員長、内藤事務局長、同じく受賞者の大森英一郎氏、岡崎芳彦氏
第35回ランナーズ賞野受賞は上記の1大会と2名の方々に決定しました。
「選考にあたって」
ランナーズ賞選考委員会委員長 増田明美

街のイルミネーションが美しく輝いています。第35回ランナーズ賞も、輝きでは負けていません。受賞者を紹介しますね。
サロマ湖100kmウルトラマラソン。1986年に創設され、話題になりました。当時、日本国内に本格的なウルトラマラソン大会は存在せず、「北海道のオホーツクエリアで100km走る」という大会の誕生に、皆びっくり。100kmは未知の距離だけど、走りながらランナーが思う「このままずっと走っていたい」「どこまでも遠くへ」という気持ちに応えてくれるものでした。夢への挑戦だったのです。サロマ湖の雄大な景色、沿道では斎藤商店の齋藤登久代さん(2008年、第21回ランナーズ賞を受賞)など、たくさんの人が温かなおもてなしをしてくれて人気を呼びました。大会の成功は、全国各地でウルトラマラソン大会が開催されるきっかけとなり、日本のウルトラマラソン文化の礎を築いたと言っても過言ではないでしょう。
大森英一郎さんは、法政大学陸上部出身で箱根駅伝9区を走った元競技ランナーです。2015年に起業し、ランナー向けSNSや、地域で誰もが参加できるランイベントを展開してきました。コンセプトは「もっと自由に、楽しく走れる世界」。景観や旅を楽しむ“ランのカルチャー”を発信しながら、イマどきなやり方でランの世界を広げてくれています。
そして岡崎芳彦さんは、50年のランニング歴を持つベテランランナーです。2007年から「山口ランニングネットワーク」を主宰し、講演会・合宿・セミナーを開催。下関海響マラソン大会などの企画や運営協力で地域活性化にも貢献しています。モットーは「無理せず、楽しく、正しく」。利他の精神で、たくさんの人を幸せにしているのです。
大森さんと岡崎さん、おふたりに共通しているのは、ランニングを「楽しむもの」として広めている点。初心者を歓迎して、誰もが参加できる場を作っています。おふたりのキャリアや活動内容は違っても、「ランニングを楽しむ文化を広げる」という共通の理念にたどり着いているね、と選考委員会での意見にもありました。
都市の発信力と地域の温かさ、若い挑戦と豊かな経験。同じ志で響き合えば、さらに日本の市民ランニングの世界は面白くなる!と期待しています。
第35回ランナーズ賞受賞者

「いつかはサロマ」の合言葉でも知られる、日本初の100kmウルトラマラソン
サロマ湖100kmウルトラマラソン
(北海道 湧別町・佐呂間町・北見市)
1986年にわずか58人の挑戦から始まった「サロマ湖100kmウルトラマラソン」は、今年2025年、記念すべき第40回めの開催を迎えた。日本におけるウルトラマラソンの先駆け的な存在として、国内のウルトラの歴史と共に歩み、今や約4000人が参加する日本最大級の100kmレースへと成長。ウルトラでは初の日本陸連公認コースとなり、100kmロードの世界最高記録も男女ともにここから出た。*
コースはサロマ湖沿岸を中心に、オホーツク海や北海道遺産に選定された「ワッカ原生花園」を眺めながら走るフラットなもの。朝5時にスタートする100kmの部の制限時間は、13時間。100kmの部を10回以上完走した参加者には「サロマンブルー」の称号が与えられ、さらに2007年大会より、サロマンブルーの次のステップとして、20回以上の完走者に「グランドブルー」という新たな称号を設置している。
サロマならではの雄大な自然の中、ボランティアスタッフや沿道からの温かい応援に励まされ、フィニッシュをめざす100km。ウルトラを走るランナーにとっては、憧れの地ともいえる唯一無二の大会だ。
●サロマ湖100kmウルトラマラソンで出された100kmロード世界記録*
<男子>
砂田貴裕(1998年当時)6:13:33
風見 尚(2018年当時)6:09:14
山口純平(2023年)6:06:08
<女子>
安部友恵(2000年)6:33:11

「もっと自由に、楽しく走れる世界」への仕組みづくりを続ける
大森英一郎さん(神奈川・ 40歳)
学生時代に箱根駅伝ランナー(法政大学、第84回大会9区出走)として、タイムや順位といった数字に縛られる競技ランニングの厳しさを経験。その後、社会人となってから市民ランナーとの交流を通じて「楽しく走る」ことの価値に気付き、「もっと自由に、楽しく走れる世界へ」の思いから「ラン」と「トリップ(旅)」をかけ合わせた「ラントリップ」という構想に至る。2013年から活動を始め、2015年に「Runtrip」を設立。
Webマガジン、動画配信、オリジナルグッズ販売、イベント企画、アプリ開発など、様々なチャレンジを続けてきたなかで際立つ特徴は、地域活性化への貢献や、SNSとご褒美(ポイント設定)による「ランニングを継続することの促進」だ。走る楽しさを再定義しながら、テクノロジーとコミュニティを活用してランナーのライフスタイルを豊かにしたい、という意志が感じられる。
YouTubeの「Runtripチャンネル」は、2025年9月現在、登録者数 9.2万人。オンラインのみならず、リアルな現場の活動もアグレッシブに展開しており、今年は特に、東京マラソンEXPO2025への初出展、東京・代々木公園に「Runtrip BASE YOYOGI PARK」をオープン、大型商業施設をランニングの拠点として活用するイオンモール太田でのグループラン開催を果たした。
●受賞コメント
起業から10年、最初はひとりで始めた小さな挑戦が、いまでは多くの仲間に支えられ、このようにご評価いただけるようになったことをとても光栄に思います。
この歩みを共にしてくださったすべての皆さまに心から感謝申し上げます。
これからも、健康で平和な世界を願って「もっと自由に、楽しく走れる世界」の実現に向け精進し続けます。

地元・山口県で、市民ランニング普及のための草の根活動20年
岡崎芳彦さん(山口・66歳)
中学生のときに陸上競技を始め、美祢工業高校時代に全国高校駅伝出場。美祢市役所に勤めてからは、市民マラソン大会の企画や、美祢市陸協の事務局、県陸協の審判を担当し、また母校陸上部のコーチとしても活動した。本人が「半世紀を超えるランニングとのお付き合い」と語る通り、その後も市民マラソンの普及活動に関わり続け、2007年には自身主宰の「山口ランニングネットワーク」を立ち上げた。
財団職員(山口県教育財団)という本業がありながらも、「山口県の市民マラソンを盛り上げたい」という思いから、休日にはプライベートな時間のほとんどを山口ランニングネットワーク「市民マラソンアドバイザー」の活動に充ててきた、ジョギング教室の開催、市民ランナーのためのランニング合宿、リレーマラソンやマラニック大会の主催などを約20年継続し現在に至る。
山口県内外の既存マラソン大会の手伝いやアドバイス、下関海響マラソン公式イベントの講師なども務めており、その根幹には「無理せず、楽しく、正しく」ランニングと関われる人が増えてほしい、という願いが常にある。練習会でも「がんばれ!」とは決して言わず、「無理しちゃダメよ!」が口癖だ。
初心者対象のイベントだけでなく、2017年には周南24hリレーマラソン、2019年には赤間関街道中道筋マラニック大会を企画運営し、またコロナ禍の2010年には「萩往還ピクニックラン」を開催し、地元ランナーやウルトラランナーから大変喜ばれた。
●受賞コメント
私の自慢はこれまでに多くの素晴らしい人々と出会ったことです。それぞれの出会いから大きな刺激を受け、ランニング愛がさらに高まり、山口県での市民マラソンの普及活動に専心できたように思います。
「人生100年」と言われるようになり、健康寿命がより問われる時代となりました。
大好きなランニングで、晩年まで人生を元気に楽しめる人が増えていくよう、今後も自分スタイルの普及活動に努めてまいります。
